海外に長期滞在している人には二種類のタイプがあると思います。ホームシックにかかる人とかからない人です。僕自身ずっと後者だと思っていましたが、ある日突然に日本に帰りたくて帰りたくて仕方ない衝動に襲われ、ホームシックという感覚を知ることができました。何故今まで全くホームシックとは無縁で旅をしてきた人にそれは突然襲いかかってきたのでしょうか。またその対処方はどうすることが一番なのでしょうか。その辺りを今回は、僕の知り合いの海外滞在者たちの具体的な対処法と共にご紹介していこうと思います。
何故ホームシックにかかる?
海外に明るい何かを見て日本を飛び出したはずなのに、いざ来てみるともう帰りたい。そんな思いをするぐらいなら最初から日本で何か別のことをしていれば良かったのに……。
そんな風に考え始めてしまうと、ホームシックの波は次から次へと押し寄せてきます。すぐに帰れる状況ならよいのですが、大抵そんな風な気持ちになる時は何かしらの理由があって今すぐには帰国できないというケースがほとんどかと思います。
僕はそこにこそホームシックになる原因が隠れているのではないかと思っています。僕が初めてホームシックになったのはオーストラリアのワーキングホリデー中のことでした。次になった時はインドを旅中、3ヵ月後の帰国チケットを買った数日後です。全く違うように見えて、実はこれかなり似たような状況なんです。
オーストラリアでホームシックにかかった時僕はアルバイトをしていました。家も借りていましたし、帰国したくてもすぐには動けない状況です。
インドで帰りの空港券を買った瞬間は、僕は旅を最大限に楽しんでいました。だからこそ3ヵ月先という少し期間を設けて帰国の日を設定したのです。しかし帰国の日が決まるとそこまでの日数を数え始めている自分がいることに気が付きます。そして遂にはすぐにでも帰りたくて帰りたくて堪らなくなっていったのです。それでももうチケットを買ってしまっているので、帰国したくてもすぐには動けない状況です。
自由気ままに好きな時に好きな国に移動して旅をしている時にはホームシックなんて考えたことすらありませんでしたが、上記の状況ではかなり苦しみました。
結論としては、自由に帰れない状況こそがホームシックの原因であるということです。そこにいないといけないという閉塞感が知らず知らずのうちに自分を追いつめているのだと思います。短期の旅行者でもホームシックにかかるのも、帰りの航空券を既に手配しているため、それまでは日本に帰ることができないという無意識の重圧を感じてしまっているからではないでしょうか。
対処法は?
僕は旅や旅行ではできるだけ片道のチケットしか買わないと決めています。しかしワーキングホリデーやなんらかの理由でその国に縛られる状況にある時には、別の対処法が必要になってくるでしょう。実際に旅先やワーホリ中に出会った日本人から聞いたホームシックの対処法をまとめたのでご紹介します。
・一度縛りを解く
これはかなり有効な手段だと思ったと同時に、割と色んな人が教えてくれた対処法でもあります。自分を縛っているなんらかのルールから自分を解放、または緩めてあげるという方法です。例えば、「私は現地の言葉しか話さない」、「必ず~はする」、「一年間は帰らない」、「日本人コミュニティには属さない」等々です。
ニュージーランドの雀荘で出会ったおっちゃんが笑って言っていました。
「しっかりしている人こそこの自分ルールでドツボにハマっていくから。自分の決めたことをやり抜くことも大切、でも母国を離れて海外に滞在しているだけで普通の感覚からしたら『凄いコト』。少しくらい自分に甘くしてあげてもバチは当たらないよ」
・日本人と話す
これも割とよく教えてもらった対処法の1つです。タイの駐在員の方が言っていました。
「ホームシックって日本語話したいだけだろ。いるよどこにでも日本人は。適当に気の合いそうな奴見つければそんなもんかからないんだよ。おかーちゃんに会いたいとか友達に会いたいとか言うけど、結局日本語話したいだけなんだって。ホームシックの奴ってやたら電話してるだろ?そういうことだよ。ようは寂しいだけなんだよ」
確かに人と話していれば寂しさは和らぎます。それが気の合う仲間ならなおさらです。大人になると友達を作るのが下手になりますが、僕は海外では日本にいるよりもその難易度は低いのかなと思っています。新しい友達を探すのはホームシックに対する手段としてはかなり有効だと思います。
・趣味を見つける
何か没頭できるものがあるとホームシックになりにくいそうです。できれば人と一緒にできるものが望ましく、1人でやれることでも誰かを巻き込むべきです。例えば、食べることが好きならSNSやブログで紹介してみるとか、ゲームや読書が好きならそれらの感想や評価をネットに伝えてみる等です。台湾でワーキングホリデーしている女性が言っていました。
「最初は帰りたくて帰りたくて仕方なかったけど、ブログを始めたら全くそう思わなくなりました。台湾と日本の違いを半ば愚痴っぽく書いていたんですけど、ある日コメントで反応をもらったんです、『めっちゃわかります』って。ああ、共感してくれる人がいるんだなって思ってからなんだか前向きになれたんですよね。今はグルメ情報ばっかり書いていますけどね」
没頭するだけでもホームシックの対策にはなりますが、人との繋がりがより強力な対策方法になるということですね。
・環境を変える
そもそもその環境が良くないというケースがあります。そのような環境であればたとえそこが日本であっても病んでしまうというような状況です。ハンガリーで出会った留学生が言っていました。
「無理してその環境を受け入れる必要はないなって。外国だからって受け入れちゃう人が多かったけど、僕は学校を変えて後悔はしてないですね」
劣悪な環境ならそこに甘んじているのではなく、抜け出す努力をしましょう。実はホームシック以前の問題で苦しんでいるはずなのに、それを日本が恋しいという理由に問題をすり替えていないかどうかよく考えてみる必要があります。
最後に
これを読んで少しでもホームシックで悩んでいる方の助けになれば幸いです。ちなみに元も子もない話ですが実は、「ホームシックになったらどうします?」という質問に対して一番多かった答えは「帰る」でした。
「一度日本に帰るとまたどうせ海外に行きたくなるからそしたら行けばいいんだよ」
そういう趣旨の意見が一番多かったです。僕もその意見には賛成で、帰国してもしまた海外に行きたいと思わないなら無理して行くべきではないと考えます。自分にとって居心地の良い場所が一番なのは間違いありませんからね。