旅の醍醐味の1つに人との「出会い」があります。
旅人は基本的に若い人たちが多いですが、年配の方もたまに出会います。その中には旅の達人のような人もおり、そんな人たちの話を聞くのはめちゃくちゃ面白いのです。
今回はそんな昔の旅を知っている人たちから聞いた話と、今まさに自分が身を置いている近代的な旅の違いを比較してみようと思います。
達人たちの話を聞くうちに、僕は昔と今で大きく変わったのは「ハードル」であると思いました。様々な困難、「ハードル」が下がっていくことで今では旅自体の難易度もかなり低くなりました。
では具体的にどんな「ハードル」が下がったのでしょうか?
施設のハードル
昔
「こんなにたくさんのホテルはなかった」
達人たちが口を揃えがちなのが宿泊施設についてです。ホテル自体はあったようですが安宿やドミトリーとなるとほとんど決まった所しかなく、日本人宿なんてほとんどなかったといいます。
数が少ないので、同じ時期に旅をしていた旅人と異国の地で何度も再開するような奇跡があったそうです。
「長距離バスなどの便利な交通機関なんてほとんどなかった」
長距離バスがない場合、国境や隣の国に行く際には乗り合いのタクシーをチャーターすることが多かったとのこと。しかも道も悪く、タイのバンコクからカンボジアのシェムリアップまで移動だけで3日もかかったそうです。
「旅行代理店を使った航空券を買っていた」
現地の旅行代理店は旅においてかなり重要な鍵を握っていたそうです。飛行機のチケットや現地の情報、隣国の情報までそこで手に入れていたそうです。
今
「こんなにたくさんのホテルはなかった」
⇒ホテルはいくらでも選択肢がある。
よほどの僻地でない限り、ホテルにも安宿にもたくさんの選択肢があります。日本人宿でさえ、国によっては同じ町に5、6ヵ所あったりもします。
「長距離バスなどの便利な交通機関なんてほとんどなかった」
⇒長距離バスはもちろん。時代はUber(ウーバー)。
今やバスも電車も充実している国が多く、旅行者に向けたたくさんの交通サービスが存在しています。
さらに日本では法律的に利用できませんがUberを代表に配車サービスが世を席巻しており、タクシーよりも断然格安で快適に移動することが可能です。
「旅行代理店を使った航空券を買っていた」
⇒ネットで買える。
スマホがあればどこでも航空券を買うことができるし、Eチケットがメールで送られてきます。
旅行代理店はツアーや長距離バスの申し込み以外では利用したことがありませんでした。そしてそれらのツアーや長距離バスの予約でさえ、ネットを使えるところが増えています。
お金のハードル
昔
「航空券がとにかく高かったから、貧乏旅は1度外国へ出たらもったいなくてすぐには帰らなかった」
昔のバックパッカーの方が陸路で色々な国を巡っていた印象がありますが、それは飛行機代が一番の問題だったそうです。
それでもバブルの頃はお金持ちが多かったから飛行機を使った行って帰っての短期旅行者が少なくなく、地を這いずり回るタイプは物好き扱いだったと愚痴をこぼしている人もいました。
「ビザ代がバカにならなかったし、国境で賄賂が必要なケースが少なくなかった」
賄賂を渡さないとすんなりスタンプを押さない職員やビザ代を少しでもぼったくろうとする者がいたとか。情報も少なかったため、言われたビザ代が果たして正規の値段かどうかも定かではなかったそうです。
「超長期の旅になると100万円とかをポケットに入れておく必要があった」
100万円ほどの大金となってくると、バックパックに入れておくことが怖いのだそうです。正に肌身離さず現金を抱えて寝ていたのだとか。
今
「航空券がとにかく高かったから、貧乏旅は1度外国へ出たらもったいなくてすぐには帰らなかった」
⇒LCCの台頭で近隣諸国なら週末旅行や日帰りも可能。
技術の進歩が人々を豊かにする分かりやすい例ですね。ヨーロッパやアメリカ大陸となると流石に遠いですが、アジアならばかなり気軽に飛行機で旅行できる時代です。
ヨーロッパもバスや電車使って陸路を行かなくても、激安の航空券がありますので隣の国でも空路で旅ができてしまいます。
「ビザ代がバカにならなかったし、国境で賄賂が必要なケースが少なくなかった」
⇒日本のパスポートは世界一!ほとんどの国へビザ無しで入れて、賄賂など一切(?)なし。
日本のパスポートはしばしばマジックブックと呼ばれ、ビザ無しで入れる国が世界で一番多いのです。これはそれこそ先人の旅人たちのマナーや振る舞い、信頼が積み重なった賜物だと思います。
一方で賄賂が習慣化している国もまだあるような気はしますが、そこまでえげつない要求はもう無いと思います。
「超長期の旅になると100万円とかをポケットに入れておく必要があった」
⇒クレジットカードとATMのお陰で、1円も現金を持たずに外国を旅行できる。
発展途上国と言われるような国や経済的に貧しい国にもたくさん行きましたが、ATMのない国はありません。たとえ街中になかったとしても、空港や銀行には必ずATMは存在し、その国の通貨を引き出すことができます。
両替所を探す必要も、多額の現金を抱える必要もないのです。
探索のハードル
昔
「人からの口コミ、評判がほとんど全て。わからないことはまず人に聞くところからスタートだった」
その国の有名な観光地ならば旅行の情報誌や本を読んで必要な情報を手に入れられますが、メジャーでない観光地、宿やレストランなどの情報は地元の人に尋ねて地道に集めるか、旅人同士で情報交換をするしかなかったのだそうです。
「その国の地図を買うこともよくあって、その時集めた地図は家に飾ってあるんだ」
その写真を見せて頂きましたが、ボロボロの地図に細かく当時のメモが書き込まれていました。異国の文字の上から書き込まれた日本語は文字や、破けていたり端からくすんでいるその地図は今まで見たどのお土産よりもかっこよかったです。
今
「人からの口コミ、評判がほとんど全て。わからないことはまず人に聞くところからスタートだった」
⇒全てグーグル先生が教えてくれる。
今でも旅中で人に何か聞くことはよくありますが、基本的には必要な情報は全てインターネットで調べることができてしまいます。
特に日本人の持つ情報量は凄まじく、場合によっては英語で検索しても出てこないようなコアなことまで調べることができます。
「その国の地図を買うこともよくあって、その時集めた地図は家に飾ってあるんだ」
⇒グーグルマップなどの地図アプリが優秀過ぎる。
地図どころか、GPSを使えば自分がいまどこにいてどちらを向いているのかさえも分かってしまいます。
紙の地図から神の地図へとはよく言ったものですが、とんでもない技術だと思います。これさえあればどんな国でも迷うことはなく、今から向かうホテルの前面道路の様子まで確認できてしまうのです。
最後に
僕の感じる一番大きなハードルの変化は「情報」かなと思います。無料でサクサクなんでも調べられ、翻訳や現在地までどんな情報でも一瞬で手に入れることができます。
これからもっともっと便利になって行くのかと思うと、スマホやネットのない時代を旅していた人たちの話は益々貴重なものになると思います。
時代について行きつつも、先人たちの面白苦労話にはいつまでも耳を傾けていたいと思っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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