南京虫は旅人と宿が最も憎む相手と言えます。
ヤツラは主に安宿から中級クラスのホテルに住みついています。タイのとあるゲストハウスでは南京虫が出るという噂が広まりすぎて誰も来なくなり、遂には潰れてしまったという事件がありました。
宿をも壊滅させる威力を誇る小さな吸血鬼が南京虫なのです。
出会ってしまうかどうかはほとんど運なのでどうしようもありませんが、敵を知って予めその対策を知っておくことが大切です。
異国の安宿に泊まり歩いて5年、ホステル管理人経験から長年に渡ってヤツラと戦って得た知識、対策を紹介しようと思います。
※ちなみにこのページでは南京虫の写真、噛まれた跡の写真は載せないことにしましたので、不愉快になる画像は出て来ません。
南京虫とは
南京虫はベッドバグ、トコジラミとも呼ばれる昆虫のことです。
動物から血を吸い取る吸血昆虫で、5㎜程の大きさでその名の通りベッドに生息していますし、他にも本、衣服、壁やコンセントの隙間などで息を潜めています。
小さいですが目視できないほどではなく、その姿を実際に確認することができます。一見どこにでもいそうな普通の昆虫のようにも見えます。「シラミ」とついていますが、カメムシの仲間だそうです。
噛まれるとどうなる?
南京虫は痒さとその噛み跡が凶悪です。
まず痒さですが、蚊よりもよっぽど痒いです。
しかも蚊よりも長期間に渡って痒みが続き、皮膚がズタズタになるほどかきむしる人も少なくありません。痒みの種類は蚊と同じなのですが、それの少し凶悪版といった感じです。
しかも、しばらく治まったと思っていると突然また痒みが再発したりするのもやっかいです。
次に噛み跡ですが、これは痒さよりもさらに長続きします。
蚊のようにすぐに消えない場合がほとんどなので、顔を刺されてしまうと悲惨です。
しかも南京虫は吸血昆虫のくせに血を吸うのがヘタクソなのです。上手く吸血できるまでやたらめったら噛みまくるので、その噛み跡は1つでは済みません(実際はヘタクソなのではなく別の理由があるのかもしれませんが……)。
南京虫の噛み跡は特徴的で、蚊に刺されたような跡が点々と連なります。上手く血が吸えるまで歩きながら噛みまくるので、南京虫の通った道が皮膚の上に出来上がります。
かき過ぎて皮膚に傷さえ付けなければ、その跡は綺麗に消えることがほとんどなのでそこは安心して下さい。僕は顔を含めて全身いかれていますが、その跡は一切残っていません。
5つの恐ろしい習性
・バックパッカーもビックリの長距離移動とフレンドリーさ
ヤツラは割と遠くからでもトコトコと歩いて血を吸いにやって来ます。そしてバックパックや荷物に潜り込み、共に旅を始めようとするのです。
知らず知らずに自分が南京虫を宿にばらまいて回っている可能性もあるので、行く宿行く宿で毎回噛まれるようなら自分の荷物を疑う必要があります。
・ひたすら痒い、蚊よりも痒い
人によっては耐性のある人もおり、全く痒くないという人もいます。そういった人の荷物に南京虫が潜り込んでしまうとかなりやっかいです。
次々と宿に感染を広げてしまいますが、本人に問題意識がないので解決のしようがありません。
・跡が中々消えない
1匹につき数カ所噛まれるので、数匹から狙われると悲惨です。僕は3、4匹に全身いかれたことがありますが、痒くない部分の方が少なく地獄を見ました。
・血を吸うのが下手くそ
噛むなら一箇所にして欲しいです。蚊の爪の垢を煎じて飲んでもらいたいですね。
・しぶとい
旅行者もですが、特に宿泊施設側からはこれが最も嫌われている理由になると思います。
熱に弱いという弱点を持つのでマットレスや布団を天日干しするのですが、奥の方に入り込まれると結局逃げられてしまいます。そしてタマゴには殺虫剤が効かない場合があり、生息範囲も多岐に渡るので完全には駆除し切れないという事も少なくありません。
業者さんを呼んだ次の日にベッドの横をトコトコ歩いている姿を見かけると発狂ものです。
対策
ホテルに着いて部屋に入ったらまずはベッドのマットレスを持ち上げて裏側を見てみましょう。
その時点で虫の気配がなければどんな安宿でも一先ず安心しています。もし南京虫がいるようならすぐにホテルにその事を伝えて部屋を変えるかキャンセルしましょう。
どうしても泊まらなければならない場合は電気を付けっぱなしにしておくと良いでしょう。明るいところには現れないと言われていますが、真相は定かではありません。
ホテル側も南京虫の存在は死活問題なので、遠慮せずに教えてあげましょう。対応が雑なようならそのホテルに未来はありません。
南京虫に噛まれたら、よっぽどでない限りは我慢しておけば大丈夫です。怖いのは掻きむしることで傷がついてバイ菌が入ることなので、あまりかかないようにしたいです。
それよりも荷物に気をつけましょう。部屋か宿を変えるのはもちろん、できれば衣服やタオルは全て洗濯して乾燥機をかけたいです。
もしそれをしても南京虫を発見するようであれば、僕ならもう荷物は諦めます。タマゴを生み付けられてしまっている可能性が高く、そこからの戦いは熾烈を極めます。逃げるが勝ちということで全て捨ててしまいます。
宿泊施設や家に持ち帰ってしまった人は長い戦いを覚悟しなくてはならないかもしれません。業者さんに頼むか家に火をつけるしかありません。
一旦おさまったとしても、タマゴの存在がやっかい過ぎるのです。妥協せずに根気強くとことん付き合いましょう。そして業者さんを信じましょう。
最後に
僕は旅を始めるまでこのような恐ろしい生物を知りませんでした。
散々刺されたり真正面から戦ったお陰で随分とヤツラの生態やら知識やらが増えてしまいました。日本にいる限りは必要の無さそうなノウハウですが、こうして記事で発信できるので全く無駄ではなかったのかなと思います。
南京虫が出た宿を含めて安宿ワースト5をまとめているので良かったら↓↓をどうぞ。
最後まで読んで頂きありがとうございました!