旅で最も重要な要素の1つは「宿」です。旅先でどんなに素晴らしい体験をしても、選んだ宿のせいで不愉快な結果を迎えてしまうのはとてももったいないと言えるでしょう。
海外では観光に疲れて戻る場所は家ではなくホテルやゲストハウスなのです。旅と宿は切っても切り離せない関係にある以上、上手く付き合っていく必要があります。
今回は5年間の海外放浪とホテル暮らしを経て手にした安宿の見極め方をご紹介していこうと思います。今でも実際に実践している方法ですので、使えると思うものがあれば是非自分のものにして頂ければと思います。
エリアの把握
基本中の基本なのですが、意外とサボりがちです。基本的に宿の属性や価格はエリアに依存します。リゾートエリアでは高級ホテルが、ダウンタウンのビルの中にはカプセルホテルが密集するように、どこのエリアかによってその宿がどんな宿なのかはおおよその予想がつきます。
気を付けなければいけないのは、「リゾートエリアにある格安宿」や「周りのホテルの値段と乖離して安いホステル」です。そのような宿は言わずもがな「何か」があるから安いので、その「何か」の中身を知ってからでないと泊まるのは危険です。
以前イスラエルのテルアビブに滞在していた時、全体的な物価の高さに僕は喘いでいました。
色々な方法でどうにか安い宿はないものかと探していると、なんと相場の半額以上でしかもキレイなホステルを見つけました。街の中心地からは少しだけ離れていたので、それが理由で低価格なのだと思って良く調べずにすぐ予約をしました。そして当日、現地で僕は深く後悔することになったのです。
宿自体は写真の通りとてもキレイで清潔感のある施設だったのですが、その周りの環境(特に目の前にあった大きな公園)に問題がありました。夕方頃から様子のおかしい人たちがうろつき始め、夜になると叫び声や奇声、クラクションが何度も鳴り響くのです。僕は空腹と喉の渇きを一晩中我慢するハメになりました。
後で調べて分かったのですがそこはジャンキーが集まることで有名なエリアで、地元の人でも特別に用事がない限りは近づかないような場所だったのです。
もしそのエリアの情報を調べずに価格だけを見て宿を決めようとしているなら、一度冷静になって調べなおしてみることをオススメします。知り合いの旅人はその国の中華街にある中国人宿にブッキングし、全く英語が通じなかったことがあると言っていました。
無駄なトラブルを避けるためにも、どんな場所なのかを調べてから予約しましょう。僕は場所によってはグーグルマップで実際のホテルの前面道路までチェックすることもあります。
連泊予約はしない
もし可能なら予約は一泊だけにしましょう。これには2つの利点があります。
安くなるかもしれない
予約サイトを使用していた場合に宿泊費が少し安くなるケースがあります。
私たちが予約サイトで宿を予約すると、宿は予約サイトにその紹介料を支払います。しかし、2泊目以降に予約サイトを利用していなかった場合、宿は紹介料を支払う必要はありません。私たちは連泊することを条件にその紹介料の分だけの割引を交渉できるというわけです。
宿によりけりですが基本的に連泊して欲しいのが宿泊施設の本音です。割引に応じてくれる、または何も言わなくても安くしてくれるなんてこともあります。
地獄かもしれない
やってきたホテルがイメージ通りの最高のホテルとは限りません。こちらはお金を支払うのですから我慢してそこにいる必要はないのです。とは言え、既に宿泊費を支払っていては出るに出られません。なので初めはいつも1泊予約にしましょう。様子を見てから延泊を決めるのです。
人気の宿で、延泊できなかったらどうしようと思うかもしれませんが、そこが地獄かもしれないリスクを考えるとやはり予約は1泊をオススメします。
僕はいつも、後に紹介する「チェックイン後の3つのチェックポイント」を確認してから延泊を決めています。
評価を下見する
宿を決める際に誰もがチェックするであろう評価や口コミについてです。基本的に有益な情報ばかりですので見ておくことをオススメしますが、中には参考にならない種類の評価もあるので注意が必要です。人々の評価は以下の3つのうちどれかを利用すれば十分かと思います。それぞれのざっくりとした特徴を紹介しています。
ブッキングサイトの評価値
とても参考になります。ホテル側もかなり意識しています。レビューの多いホテルではそのゲストたちが口を揃えていることに注目すると良いでしょう。例えば、「風呂場の栓が詰まりやすくてすぐ水浸しになる」と色んな人が言っているなら恐らくそれは真実ですが、「スタッフの対応が最悪、2度と泊まらない」とコメントしている人が1人だけいた場合は恐らくそれはその人がスタッフの誰かと喧嘩しただけなので気にする必要はありません。
感情的なコメントや、客同士のトラブル、観光地の批判などの見当違いなレビューは無視しましょう。
ちなみにホテルや宿のブッキングサイトはブッキングドットコムかアゴダを使っている人がほとんどだと思います。口コミも豊富なので参考になります。
個人ブログの評価値
これもかなり参考になります。ブッキングサイトの写真は盛りまくりですが、個人の方の写真は現実により近いものが多く参考になります。
さらに予約サイトよりも丁寧に評価をしている場合が多く、情報の質が高いです。予約する前に宿の名前を検索するなどして調べてみると面白い情報が手に入るかもしれません。
グーグルマップの評価値
オーナーのさくらが多いイメージですが、たまに致命的な批判をしている人がいるのでおもしろいです。ブッキングサイトでは言及されていなかった南京虫の発見情報など、知ってしまったら泊まれないようなコトが落ちていたりします。気になったら調べる程度で大丈夫だと思います。
チェックイン後の3つのチェックポイント
宿についたら早速、実際に自分の目と感覚でそこの雰囲気を掴みましょう。百聞は一見に如かずです。連泊するのか、そこを自分の拠点にしても大丈夫そうなのかを見定めていきます。特に安宿においてチェックするべきポイントを3つまとめました。
受付の接客
宿の対応は基本的にこれが全てです。ここで雑にされるようなら連泊は控えておきましょう。
予約を1泊だけにしているとき、「様子を見てから連泊するか決める」ということをチェックインの手続き中に伝えることをオススメします。あからさまに対応が変わったり、ツアーのしつこい勧誘がなくなったりします。
ベッドの下
ベッドの布団をめくりましょう。中級くらいのホテルでもめくってみることをオススメします。汚れと南京虫のチェックです。虫の痕跡があるようならすぐにホテルに伝えて部屋を変えてもらうなりキャンセルするなり対応しましょう。
南京虫は痒いだけでなくあなたのバッグや荷物に入り込んでくる可能性があるので、絶対に同じ空間にいないようにして下さい。ホテル側からしても彼らの存在は脅威なので、教えてあげることが最大の配慮となります。遠慮無用なので言いましょう。
宿泊客の質
どんなに居心地が良い宿でも、他の宿泊客次第ではさっさと別の宿に変えましょう。あまりにも非常識な人や危ない人に付き合う必要はありません。
宿でのトラブルの多くは宿のスタッフ対宿泊客よりも、宿泊客対宿泊客です。宿はグローバルな場所で、様々な人種の人たちが宿泊しています。時には日本の常識が通用しない場合も訪れるでしょう。もし我慢できないほどだと感じたら自分が場所を変えましょう。
他人を動かすよりも自分を動かす方が簡単です。
最後に
安いホステルやゲストハウスは高級なホテルとは違って様々なトラブルがたくさん潜んでいます。そんなやっかい事をできる限り回避するための手段をご紹介しました。
色んな宿に泊まり続けるうちに、上記の方法以外にも自分なりの工夫を発見していくかと思います。これが、読んで頂いた方の無敵のホテルマスターになるきっかけになれば幸いです。
関連記事として僕の泊まってしまったヤバい宿をまとめてみました。