ハンガリーのブダペストで宿の管理人をしていたことがあります。
ほとんど毎日新しい旅人との出会いがあってとても面白い仕事でした。今回は数々のお客さんたち中から4人ピックアップしてご紹介しようと思います。
毎日が一期一会で過ごしていると、段々と寂しいという感情が欠落していくのがこの仕事の唯一の欠点でしたが、それ以外はほぼ天職と言って良いくらい楽しい仕事でした。次々にやってくる濃いお客さんたちと話したり観光したり遊んだりしている毎日は、いつまで経っても全く飽きませんでした。
画家
ブダペストはアーティスティックな街です。
日本人のミュージシャンやダンサーなんかが勉強しにやってくることも少なくありませんでした。画家や個展を開いているような人たちにも出会いました。
彼女も画家志望でブダペストに訪れており、彼女のおじさんが僕の働いていたホステルに長期滞在している超常連さんだったのでよく遊びに来ていました。
背が高くて絵を描かれる側でも活躍しそうな綺麗な人で、日本人離れした雰囲気を持っていました。彼女について特に覚えているエピソードが一つあります。
ブダペストには温泉があるのですが、金曜日はゲイの日で有名です。みんな知っていることなのですが、今も残っている慣習というわけではありません。ありませんが、全く無くなってしまったというわけでもなく、僕自身若干迫られたような経験があります。
僕の話は次の機会にして、彼女は女性なので金曜日は関係ありません。しかし、火曜日はレズの日なのです(温泉の場所によっても違うとか違わないとか)。
彼女は火曜日に温泉に行った際にロッカールームで女性に襲われたそうです。無理矢理キスされて戸惑ったそうですが、カッコイイ人だったからまあいいかと身を任せたのだとか。
旅中に出会った人々
僕が宿の管理人になったのは、色んな国を一年弱ほどフラついた直後でした。
その旅は僕の人生で初めての旅ということと、英語が今よりもっともっと話せなかった時代ということで、外国人よりも日本人の旅人と仲良くなることが圧倒的に多かったのです。
そしてその出会った人々が次々と僕の働いている宿に泊まりに来てくれました。それは事前に連絡を取り合って来てくれた人はもちろん、全くの偶然に再開というパターンもありました。
どちらにせよ外国での再開というのはまたテンションの上がるイベントでハッピーでした。日本で再開するのも悪くありませんが、やはり旅人とは異国の地で待ち合わせしたいものです。
朝5時に来て宿泊キャンセルする人
管理人時代の僕は基本的に宿に常駐しており、予約以外の飛び込みのお客さんにも対応できるようにしていました。
今時飛び込みなんているのかよ、と思う人もいるかもしれませんが、これが結構いるのです。
宿としては8時から22時までは開いていますと告知しており、僕はその時間帯以外に来たお客さんにもなるべく対応するようにしていました。さらに、チェックインは14時からチェックアウトは11時です。
その日の早朝、まだ絶賛爆睡中でしたがピンポン(ブザー)で叩き起こされました。
僕はできるだけ柔軟に対応していたつもりですが、流石に朝の5時は想定していませんでした。よっぽど無視しようかとも思いましたが、お客さんを起こしてしまうのも申し訳ないので急いでドアを開けに行きました。
なんで早く出て来ないんだよ顔で小綺麗なバックパッカーが立っていました。その態度に若干ムッとしながらも共有スペースに案内してチェックアウトの時間まで待ってもらうことにしました。ベッドが空いていればすぐにでも案内して寝たかったのですが、あいにくの満室です。仕方ないので僕はカタカタとPCゲームをしながら暇をつぶしていました。
8時ごろになるとお客さんが1人チェックアウトしていき、急いでベッドメイクをしてふくれっ面の待ちぼうけ小僧を通しました。
すると、その小僧は30分くらいしてゴソゴソと起き出してきたかと思うと、なんとやっぱり泊まるのをやめると言うのです。理由は寝心地が悪いからとのこと。後にも先にも管理人をしていて頭にきたのはその時だけでした。
ブラジル在住のパワフルおばあちゃん
ブラジルの農場で共同生活しているというおばあちゃんがやってきたことがありました。
彼女は旅好きで年に何回か色んな国を旅行するのだとか。ドミトリーに泊まり歩き、大抵1カ国に長期滞在しながら旅をするということで、なんだか僕と同じようなスタイルの旅だったのが面白かったです。
旦那さんとは旅をしないのかと尋ねると、「旅には連れて行かないわ。たまには解放されたいのよ」と笑っていました。
仲良くなった現地のダンサーの子と3人でよくワイワイ雑談していたのを覚えています。
天真爛漫な性格で、自由奔放に生きている様子が素敵でした。天真爛漫すぎる故か、ドミトリーでの荷解きが解放され過ぎていたらしく、他の女性客からクレームが来ました。ちょっと荷物をまとめて欲しいという旨のクレームだったので見てみると、部屋の空きスペースはほぼ彼女の私物で埋め尽くされており、片付けをお願いしました。
それでもホステルをとても気に入ってくれて、いつか管理人のお手伝いをさせてくれと頼まれたほどでした。
最後に
この記事に限らず、色々な形で僕の出会って来た旅人たちを紹介しています。
人気のあった旅人紹介の記事を一つ置いておくので↓↓をどうぞ。
最後まで読んで頂きありがとうございました。