ハンガリーのブダペストにある廃墟バーでのシーシャライフが今の日本のシーシャライフに繋がっている話

ハンガリー編

 ハンガリーのブダペストには廃墟バーなるものがあります。

 ハンガリーは古きヨーロッパの姿が残る国で、首都であるブダペストの街はそれ自体が遺産と言ってもいいほどです。戦争の銃痕で壁が穴だらけになっていたり、古い建物にコンビニが入っていたり人が住んでいたり、街の節々に歴史的なロマンを感じられます。

 廃墟バーはその名の通り、廃墟になった建物をそのままバーに転用しているお店のことで、観光客はもちろん、現地の人たちからも愛される憩いの場です。

 憩いの場なのですが、僕は初めて行った時は少し緊張していました。

 現地をよく知るおっちゃんとその姪っ子さん、そしてお客さん(当時僕は宿の管理人をしていたのです)と訪れたのが初めてでした。

 何がそんなに緊張することがあるのかと言うと、廃墟バーの怪しさです。店内は薄暗く、二階建てになっており、どこかいけない匂いがするのです。二階の天井は低く、半個室のような席が洞穴のように並んでいました。

 それくらいならまあコンセプトカフェ的な感じでそこまで緊張もしなかったのですが、僕の目を引いたのは半分以上のテーブルにある怪しげな器具でした。

 ホースを口に加えてとんでもない量の煙を吐き出す人々を見て、どう考えてもヤバいだろと思いました。

 現地をよく知るおっちゃんに、アレは一体何なんだ大丈夫なのか僕もやってみたいと言うと、笑って教えてくれました。

 「アレはシーシャだよ。水タバコってやつだな。もちろん合法だし、一つもらって試してみようか」

 おっちゃんの姪っ子のお姉さんはよくシーシャを吸いに来るということで、僕は彼女と注文しに行くことにしました。

 その廃墟バーは日本ではまず考えられないシステムでシーシャを提供していました。お酒を頼む時にはバーカウンターへ行ってお金を支払い、お酒をもらって先 席に戻ります。これはまあ日本でもたまに見かける提供方法ですが、なんとシーシャも同じ方法で提供するのです。

 つまりバーカウンターへ行き、シーシャを頼んでお金を支払うとシーシャを渡されます。日本ではお客さんには原則的にシーシャには触らせないお店がほとんどですが、その廃墟バーではシーシャをお客さんが自分の席にまで運ぶのです。

 僕はその時が初シーシャだったので、それが当たり前だと思っていましたが、今考えると中々珍しいシステムでした。シーシャは高価で割れやすく、炭を不安定に乗せているので安全面を考えてお店のスタッフにしか触らせないというケースが日本ではほとんです。

 そして今考えると不可解なことがもう一つありました。

 それは人参というメニューがあったのです。シーシャのフレーバーでも人参味というのは見たことがありませんが、シーシャのメニューの横に「carrot」と書いてあったのです。バーに立っていたお姉さんに尋ねてみると、人参は人参だよと言われ、シーシャと一緒にいかが? とか言ってきます。僕はおかげで、シーシャとは人参と一緒に嗜むものなんだとしばらくのあいだ誤解していました。

 おそらくその廃墟バーの人気メニューか何かだったのですが、いまだによくわかっていません。

 とにかく僕らは自分たちのテーブルにシーシャを持って行きました。4人で順番にシーシャを吸ってみて、むせなかったのは吸い慣れたおじさんの姪っ子お姉さんだけでした。僕はタバコも吸わないので喉が焼ける感覚にしばらく苦しみ、ビールで喉を冷やしていました。

 今考えるとおそらくそこのシーシャはかなり焦げ焦げだったのではと思います。初めてシーシャを吸う人でもむせないように優しい煙を作ることが可能なのですが、そんな風に一人一人にヒアリングしてくれるような丁寧なオペレーションのお店ではなかったので仕方ありません。

 むせ返り過ぎてろくにシーシャを楽しめなかった僕だったのですが、なぜか惹かれるものがあってたまにお客さんに紹介がてら廃墟バーでシーシャを吸うようになったのでした。僕がドヤ顔で、これがシーシャって言うんですよ〜と連れてきたお客さんが喫煙者だと、お客さんの方がむせることなくシーシャを吸いこなし、一方で僕はゲホゲホむせていたので照れちゃいます。

 日本に帰国してシーシャ屋さんを探して行ってみると、ブダペストと同じようにむせ返ってろくに吸えていなかったのを覚えています。しかし、そんな風に全然シーシャを吸えないのにも関わらず、自分で作ってみたいと思い立ってシーシャ屋でバイトを始めたのでした。

 当時、実はほとんど煙を吸えずにシーシャ屋に入っていたのは懺悔したいところです。しかし、僕なりになんとか吸えるように色々と工夫して、キックの少ない煙を作り出す努力をしたことが功を奏して、僕と同じくタバコを吸わないお客さんにもシーシャを楽しんでもらえるようになったのは良かったです。

 最近では日本にもシーシャ屋さんが乱立して色々なスタイルのお店が登場して面白く感じます。僕がシーシャを日本で吸い始めた頃には外国のシーシャのように強い煙を作るお店ばかりでしんどかったので、色々なお店の選択肢が増えるのはとっても嬉しく思っています。

 

最後に

 ハンガリーに関する記事とシーシャに関する記事の一覧をそれぞれ↓↓に置いておきますのでどうぞ。

ハンガリーの記事一覧

シーシャの記事一覧

 

 最後まで読んで頂きありがとうございました!

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