【バガン】極寒の深夜バスとタクシードライバーとの攻防【ミャンマー】

ミャンマー編

 大抵いつもそうなんです。夜行バス、乗る時はいつも上機嫌でテンション高いんですよ。でも1回寝ると大体最悪の気分で目覚めるんです。ある時は変な咳が出始めて、ある時は鼻水が止まらくなって、またある時は寒気が止まらずガタガタ震えていたりです。旅や旅行で一番最悪なの病気か怪我です。せっかく楽しめるものも心から楽しめなくなってしまいます。今回僕は風邪をひくことなくバガンまでたどり着くことができましたが、ホテルのシャワーを浴びてベッドへ転がり込むどろどろとした嫌な体調でした。

「バスは冷房が効きすぎています」

 そんなことはインターネットのブログにはどこにでも書いてあることですし、多少東南アジアを経験していれば知っていることだと思います。現に僕も、「そんなのビギナー旅行者への忠告なんて」と読み飛ばして旅を続けてきました。そして今回の経験を経て僕は1人でもこれを読んでいる方に伝えたい。

「バスは冷房が効きすぎています」

 入った時からそんな予感はしていたんです。なんだかいつも(アジアの冷房ガンガン文化)より寒いかもしれない、と思っていました。しかしその時の僕は、

「あ!窓側の人は充電できる!」

 とか、「お、ブランケットが用意されてる!」

 とか、「やった!手筈通り一番前の席だ!」

 そんなことに夢中で心の中の声には耳を傾けませんでした。というか服屋に駆け込めるわけでもないので、たとえ耳を傾けていたとしてもどうにかなっていたとは思いませんけどね。そしてひと眠りして休憩所で叩き起こされた頃(全員起こされて外に出されます。運転手がご飯を食べ終わるまではバスに入れません)、車内がめちゃくちゃ寒くなっていることに気が付きます。

食欲もなかったので、トイレだけ済ませて30分ほど休憩所をぶらぶらしながら待っていると運転手がバスに戻っていくのが見えました。座りたかったのですぐバスに乗り込むとやっぱり寒い……エンジンを消して30分以上経っているというのに全然寒いのです。まあなんとか耐えられるだろうと思ってブランケットに包まっていたのですが、バガンのバス停に着く頃には凍えていました。そして後ろからは咳やらくしゃみやら、鼻水をすする音やらの大合唱になっています。外へ出られた時は心底ホッとしました。途中で誰かが寒いよ!的なことを運転手に行っていましたが、手を振られて相手にされていませんでした。やっぱりバックパックに一着パーカーが入っていても罰は当たらないぞと心に刻みました。

 バガン行きの夜行バスが到着するのはこのバス停です。

 そしてここから「ニャウンウー」、「オールドバガン」、「ニューバガン」の3つのうちどこかに行くことになるかと思います。安宿が集中しているのは「ニャウンウー」か「ニューバガン」です。

 それぞれの道は位置関係はこんな感じです。

 僕は宿をとっていた「ニューバガン」へ行きたかったのですが、基本的に交通手段がタクシー以外の選択肢がありませんここ。バイタクと馬車と自転車タクシーみたいなやつがあるにはあるのですが、僕がたどり着いたのは午前5時でまだ真っ暗。すぐに商魂たくましいタクシーの運ちゃんたちに囲まれます。

「タクシー使うだろタクシー!こっちだよ!」

「あーまだちょっとチェックイン早いんじゃない?」

「ホテルどこ?」

「アトーカ B and Bだよ」

「ああ!知ってる知ってる!そこアーリーチェックインできるから大丈夫大丈夫」

「あそうなの?いいね、じゃ乗って行こうかなあ」

「ついてきて!こっち!」

「サンライズも見せてあげるよ!オールドバガン!今日は天気良いから最高のサンライズ日和だよ!」

「んー疲れてるからいいやー」

 車の前までくると、ほれ乗れ乗れと手招きする。僕はピタッと止まって、乗る前にお約束の質問します。

「いくら?」

「15,000チャット」

 おいおいおい!僕は踵を返して「E Lite」のオフィスの前にあるベンチに腰掛けました。外はまだ真っ暗なので見えにくいですが、看板にはニューバガンまでは8,500チャットとかいてあるのです(ちなみにオールドバガンまでは9,500チャット、ニャウンウーまでは6,000チャット)。多少の小銭は見逃しますが、2倍近く取られるのは流石に嫌でした。お前1人しかいないだの早朝だの理由をつけてきますが、払う気になれませんでした。30分以上は座ってスマホをいじりながら朝日を待っていました。

「お前のためだけに行くんだ。だから少し高いんだよ」

「もういいよ、明るくなったら歩くし」

 しつこく同じことを話しかけてくるタクシードライバーに苛立ち始めてそう言いました。ちなみに旅の交渉あるあるだと思っているんですが、この「歩く」というワードはタクシー泣かせの殺し文句です。これとセットで本当に歩き出せば、大体限界まで下げてくれます。ただし、見送られた時の悲しみは果てしないです。

「まだ暗いじゃないか」

「明るくなったら行くって」

「遠いぞ」

「2時間くらいでしょ歩く歩く」

「犬とかいるぞ」

「大丈夫だよ(え!野良犬いんの!!)」

「タクシー乗りなよ」

「いいって歩くって!(まじかー犬いんのかよー)」

「いいよじゃあ8,500で」

「……おけい!」

 まあホントはもっと安くなるらしいです。歩こうという素振りを見せれば下げられたかもしれませんが、もう寝たいしシャワー浴びたいしということでタクシー乗りこみました。空が明るくなってきて気付いたのですが、本日はめちゃくちゃ曇天、絶対サンライズ日和じゃありませんでした。このやろう!

 そして道を見回していましたが、犬全然いない!このやろう!と思っていましたが、途中めちゃめちゃいました。群れでいました。歩こうと思っている人は気を付けてください。タクシーの運ちゃん忠告ありがとう!

 

 ではでは

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