震災直後のネパールと野犬に囲まれて旅最大のピンチを迎えた話

ネパール編

震災直後のネパール

倒壊していた街の家

 

 2015年4月25日にネパールでは大地震がありました。

 この地震はかなり大きなもので、ダルバール広場、スワヤンブナート、ダラハラ塔、マナカマナなどの歴史的な寺院などが倒壊してしまいました。8,000人以上の死者、14,000人以上の負傷者を出した大災害です。

崩れた寺院

 

 僕は同年の7月、震災からおよそ3ヶ月弱経った頃にネパールへ訪れました。正直、行っても良いものかどうか迷ったのですが、結局渡航を決意しました。

 始めに降り立ったのはネパールの首都であるカトマンズでした。夜の7時頃に安宿の集うタメルというエリアに向かいました。

 そしてタクシーを降りた瞬間、僕は完全に途方に暮れてしまいました。そこはネパールの首都であるにも関わらず、電灯が一切ついていない真っ暗な街だったのです。しかも人通りもほとんどなく、空港泊すれば良かったと心から後悔しました。

 それが地震の影響によるものなのか、普段からそうなのかは分かりませんでしたが、とにかく真っ暗闇の街でした。

 さらに当時の僕はホテルのブッキングサイトを使わずに旅をしていたので、宿すらとっていませんでした。野宿するにしても、初めての国でしかも暗闇の中となると難易度高すぎです。

 部屋やお店から漏れるほんのわずかな光(ほとんどの家の中も真っ暗)を頼りにウロウロしていると、ぼんやりとした灯りに「富士山」の文字が照らされているを見つけたのです。安宿街なだけあり、日本人宿もあったのです。富士山ゲストハウス、お世話になりました。

 スタッフは現地の方で、僕が入ってくると飛び上がって驚いていました。

 明るくなってから街を探索して理解したのですが、そこには観光客の姿がほとんどないのです。時期が時期なだけに、僕のような物好きは本当に一握りだと言われました。観光業で商売している人たちは火の車で、来てくれて本当にありがとうとどの宿に泊まっても感謝されました。

 しばらくしてカトマンズを離れてヒマラヤ山脈を見上げられるポカラという町にに向かいましたが、ガランとしていてカトマンズと同じく観光客の姿は全くと言って良いほど見られませんでした。

ポカラ

 

 貧乏旅行者の僕にできることは何もありませんでしたが、珍しくいくつかお土産を買ったりしました。もちろん値段交渉なんかはほとんどしませんでした。

 自然溢れるポカラにはもちろん、ネパールには謎の植物も割とそこかしこに生えていました……。

 

旅史上最大のピンチを迎えた話

アパートからの住宅街の景色

 

 カトマンズで中期滞在を決めた僕は安宿街を離れてアパートを借りることにしました。

 アパートは街の中心街から歩いて20分程のところにあり、毎日ご飯を食べに行ったりチャイを飲みに行ったりと往復していました。ボランティアと写真を撮りに来ていたプロカメラマンの方と知り合い、数日行動を共にしたりもしていました。

 

 ある日、いつものように町をブラブラしていると、繁華街エリアまでの近道を見つけました。そこは震災で家をなくした人々がテントを張って生活している広場のような場所で、抜けると5分は短縮できる抜け道があったのです。

テントもボロボロです

 

 僕はその便利な道をたまに使うようになりました。

 なぜたまにかというと野犬が多かったのです。僕はどんなに可愛くても外国では動物に触らないようにしています。理由は狂犬病です。

 じゃれていた可愛い野良猫に甘噛みされたお陰で帰国した旅人もいました。

 特に野犬は旅人の天敵です。国によってはかなりウロウロしているケースがあるので気をつけなくてはなりません。

 遠目に野犬が見えたら、いつもそのアパートと街までの近道は諦めていました。

数日間行動を共にしたプロカメラマンと

 

 その日もキョロキョロ野犬をチェックしながらテントエリアにやって来たのですが、脇道からフッと黒い犬が現れたのです。

 心の中で舌打ちをしながら、その犬と距離を取ろうとすると、かなり近い距離まできて僕の匂いを嗅ぎながらついて来るのです。

 やだなーと思いながら早足で歩いていると、突然その黒犬がピタッと止まって後ろを振り返ったのです。

 やれやれと胸をなで下ろすのも束の間、ワオーンワンワンと辺り一帯にめちゃくちゃ吠え出したのです。

 その意味は即座に理解できました。細い路地から薄汚れた野犬たち続々と姿を現したのです。そんなことあるか?と思いましたが、悠長に考えている暇ありません。小憎たらしいことに、その黒犬は仲間を呼んだのです。

 あっという間に7、8匹、周りの冷やかしみたいな犬も合わせたらもっといたと思います。正確な数は覚えていませんが、輪になって囲まれ、彼らの吐息がかかるくらいの距離にまで近づかれてめちゃくちゃに吠えられました。

 頭の中で「旅終了の警鐘」から「人生終了の警鐘」に切り替わったとき、近くのお店に立っていた現地のおばちゃんがコッチに来いと手招きしているのに気付きました。

 数メートルの距離でしたが、犬たちにピッタリ張り付かれてギャンギャン吠えられながらそこまでたどり着くと、そのおばちゃんはすごい剣幕でホウキを振り回して犬を追い払ってくれたのです。

 噛まれていないのが不思議ですが、あんなに動物に敵意を向けられたのは初めてでした。

子犬は可愛いんですけどねえ……

 

最後に

 ネパールでは旅史上最大のピンチを迎えましたが、最高に好きな国の一つになりました。

 人がとても親切で、ご飯が抜群に美味しく、地球上で最もスケールの大きな大自然、購買意欲をそそられる可愛いお土産の数々に、安すぎる物価など、魅力が満載です。

 必ずまた行く国の一つであることは間違いありません。

 

 最後まで読んで頂きありがとうございました!

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