シーシャ屋さんで出会った面白い人特集その2

シーシャ

 これは「シーシャ屋さんで出会った面白い人特集その1」の続きですが、内容は繋がっていないのでどちらを先に読んで頂いても問題ありません。

 

 シーシャ屋さんには本当に色んな人が来ます。

 日本と海外を併せたら50軒以上はシーシャ屋さんを巡りましたが、そこには色んな出会いがありました。シーシャ屋さんにやって来る人はどこか変わった人が多く、良い意味で変な人たち、面白い人たちが集まるような気がします。

 2店舗のシーシャ屋店員としても働いた経験がありますが、そこにやって来るお客さんたちも中々の曲者揃いで、働いていてとても楽しかったです。

 今回はそれら国内外のシーシャ屋さんを通して関わった人たちの中から特に僕が面白いと思った人物や、またその人たちの経験談を紹介しようと思います。

 

お金ないのに来る人

 よく現れる超常連客でしたが、ツケさせないために彼だけはいつも前払いさせられていました。

 基本的にシーシャと1ドリンクというシステムのお店だったのですが、その人は超常連さんということでドリンクの1杯だけで座る事を許されていました。

 お金がない時にはドリンク1杯で席に座り、周りのお客さんからシーシャを一口もらうという方法で何時間も滞在していることもありました。

 それだけ聞くとあまり良い印象は持たないかもしれませんが、彼は人に好かれる魅力を持っていました。口を開いたら止まらないタイプの人でしたが、その話は面白くてよく爆笑させてもらいました。

 

 そんな、お金はないけれどもシーシャを愛してやまない楽天家の彼でしたが、僕は一度、彼が奇跡を起こす瞬間を目の当たりにしたことがあります。

 ある日、いつものように他のお客さんを巻き込んでワイワイと楽しんでいた彼は、立ち上がった拍子にシーシャを倒して割ってしまったのです。そこのお店ではシーシャを割ったら3万円という明確なルールが存在し、彼はよく「シーシャを割ったら俺はもう生活ができないよ」と自虐して笑っていました。

 シーシャを割ったその瞬間、その場にいた全員が彼の顔を見上げました。

 いつもニコニコしている彼の顔から血の気がサーッと引いていくのが見て取れました。彼はスッと席に座ると、その場にいるみんなに「とりあえずバラさないでくれ」と言いました。幸いに店員さんは奥にいてそのことに気がついていませんでした。

 彼は持っていたバックに割れたシーシャのボトルを突っ込み、ステムの部分を抱きしめて隠していました。ハガルと炭は床に落ちたままでしたが、炭は踏みつけて火を消していました。

 頭を抱えた彼はスマホを握り締めて動きません。僕はなんだか心配になり、正直に話して少しずつ支払ってもいいか聞いてみてはどうかと提案しました。しかし返事は愚か、スマホを凝視したまま僕の言葉は無視なのです。

 彼は黙ったまま必死の形相でスマホを握り締めていたのですが、ついにはブルブル震えだしました。その異様な雰囲気に僕は他のお客さんたちと思わず顔を見合わせました。

 「シーシャ割ったちゃいました!」

 突然手を挙げて彼は店員さんにそう言うと、案の定店員さんはびっくりして走って来ました。そして、何か言おうと口を開きかけた店員さんに、彼はスマホの画面を突き付けたのです。

 目をまん丸にして驚く店員さんは「お、おめでとうございます」と言いました。

 なんと彼は宝くじで少なくない額の金額を当てていたのです。詳細な金額は伏せますが、その日から彼はみんなにシーシャを振舞うこともあるくらいに気前のいい奴になったのです。

 ちなみにこの話は旅中の話なのですが、こないだその時の友達から連絡が来て、「アイツの金は既に尽きて、2本目のシーシャを割って再び顔面蒼白だ」とのことでした。

 

 

88歳の人

 88歳のバイタリティ溢れるおばあちゃんがやって来たことがありました。

 80を越えてから急に色々なことにチャレンジしたくなったのだそうです。今までは主人を支えて子供の世話をして仕事しての日々だったけれど、今は自分の時間が有り余っているのだとか。

 海外旅行もよくするようになり、旅好きの僕と大いにウマがあって盛り上がりました。タバコは吸わないけれど、シーシャにチャレンジしてみたいということでシーシャ屋店員としてかなり嬉しかったのを覚えています。

 お店には大学生からサラリーマンまで多種多様な人たちが出入りしますが、日本ではお年寄りはまず来ないのです。僕は店員をしていても客として行く時も、日本のシーシャ屋でお年寄りを見かけたのはその時が初めてでした。

 外国でシーシャ文化が定着しているような国では、一体何歳なんだというようなおじいちゃんがとんでもない量の煙を吐いていてカッコイイです。

 

 次はブラジルの農場で農業体験をするんだと言っており、その若々しい精神とチャレンジの精神は見習わねばと思いました。

 

 

シーシャで不倫を誤魔化そうとする人

 彼は売れない舞台俳優を絵に描いたような見た目の男でした。

 実際に売れない俳優なのですが、顔は整っており女の子たちからの人気もありました。既婚者でしたが女好きのどうしようもない奴で、よくシーシャ屋さんに奥さんではない女の子と来ていました。

 たまに外でシーシャを吸えるお店がありますが、彼はよくそこに出没していたのです。

「俺は妻にタバコを吸っていることがバレたら殺されるよ。多分シーシャでも怒られる。これだって一応水タバコだろ?」

 彼は奥さんと一緒にタバコをやめたらしく、例えそれが水タバコだとしても「裏切り」になってしまうからここに来ていることは言えないと言っていました。それ以前に浮気は「裏切り」ではないのかと余程突っ込もうかと思いましたが、彼の隣で幸せそうにニコニコしている女の子と目が合ってやめておきました。

 

 ある日の夕方、いつものように外のベンチに腰掛けてシーシャをふかしていると、彼がまた見たことない新たな女の子を連れてやって来たので一緒に雑談をしていました。

 僕は彼らの真向かいに座っていたのですが、サングラスに帽子、ハイヒールを履いた女性が遠目からこちらに歩いてくるのが見えました。目立つ格好だったので自然と目がいったのですが、彼と女の子は後ろから歩いて来るその女性には気付きません。

 なんとなくですが僕は直感しました。

 案の定その女性は彼の奥さんで、猛烈な修羅場が繰り広げられることになったのです。

 まず彼と来ていた女の子は、奥さんにカバンでボコボコ叩かれて泣きながら走って行ってしまいました。彼女の剣幕は凄まじく、彼はタジタジです。

 「いや、あの、タバコを吸っているから俺じゃないよ」

 「煙と浮気は芸のこやし」

 この2つの意味不明なパンチラインだけは未だに覚えています。何より笑ったのが、最初は爆煙に顔をうずめて自分の存在を誤魔化そうとしていたことです。

 向いに腕を組んでドカッと座った奥さんは、必死で煙を作り出す彼を冷ややかな目で見守っていました。

 

 

全てのお客さんにテキーラを奢る人

 タイトルだけ見るとなんだか気前がよくて良い奴っぽいのですが実は違うのです。

 僕の実際の友達なのですが、こいつは人の金を使って他のお客さんにテキーラを振る舞い始めるのでタチが悪いのです。本人もそこそこ稼いではいるのですが、「宵越しの金は持たない」どころか「宵越しの宵越しまで使う」精神で生きているのでいつもスッカラカンです。

 その日も、僕の友達と彼の2人でお店にやって来たのですが、シーシャをつまみにお酒がすすむすすむ。2人だけでもかなり飲んでいたのに、さらに店中のお客さんにテキーラを奢り回ったお陰で見たこともないお会計になりました。

 シーシャ屋さんでそこまでお金って使えるんだ……という感想しかありませんでしたが、僕は店員だったのでお会計を持って行きました。

 すると驚くことに、彼は既にお金をほとんど持っていなかったのです。結局一緒に来た友達がそのほとんどを支払うハメになっており、しかも色んなお客さんからお礼を言われて感謝されて気持ち良くなっているのは一文無しで奢り続けたお調子者の方なのです。

 いつの時代の金銭感覚なのか分かりませんが、誰がヤツに貯金の仕方を教えてやって下さい。

 

 

最後に

 シーシャ屋さんには店員さんを含めて癖の強い人たちがたくさんいます。

 僕の経験上そのほとんどの人たちが良い人たちで、話をしていてとても楽しいです。シーシャ屋さんで知らない人とお喋りすることもまた、シーシャの醍醐味の1つなのかなと思っています。

 まだ行ったことがないと言う人も、もし興味が湧いたらこの機に近くのシーシャ屋さんを覗いてみてはいかがでしょうか。

 「シーシャとはそもそも何ぞや?」と言う人のために、シーシャについてまとめた記事もあるので↓↓をどうぞ。

 

 最後まで読んで頂きありがとうございました!

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