今度エジプトに行くんだという話をしたとき、ある旅人に「エジプトは意外と人がインドな感じだから気をつけろ」と言われました。しばらくエジプトに滞在してから彼の言っていたことが分かってきたのですが、今度はエジプトにいる日本人に「アスワンはレベルが違う。あそこに行ったせいでエジプト嫌いになる人がいるくらいにはヤバい」と言われ、割とビクビクしながらアスワンの駅に辿り着きました。
タクシーの勧誘や客引き、それらを断った際の多少の暴言くらいは覚悟していましたが、結局そのどの攻撃もやってきませんでした。良い意味で拍子抜けという感じです。そのまま乗り合いのバンのようなもので宿の近くまで行きました。乗り合いのバンは2ポンドくらいです。たまに3ポンドよこせと言ってくる運転手もいました。
泊まった宿はここ「David Hostel(デイビッドホステル)」です。割とお高目なホテルが多いアスワンですが、1泊100ポンドで泊まれる安宿です。ブッキングはせずに直接行きましたが部屋は空いていました。ここの宿で翌朝から始まるのアブシンベル神殿の日帰りツアーに申し込みました。ツアーと言っても乗り合いのバンで行って帰ってくるだけです。特にガイドの様なことをしてくれるわけではありませんでしたが、昼食にパンをいくつか持たせてくれました。宿の場所を貼っておきます。普通の家のような感じなので分かりにくかったですが、オーナーのデイビッドはホスピタリティ溢れるナイスガイで頼りになります。
翌朝まだ暗いうちからデイビッドの車に乗り込みます。そして大通りまで送ってもらうと、そこには大型のバンが止まっていました。バンのドアを開けると、町からピックアップされてきた人たちでしょうか、すでに5、6人の眠そうな観光客たちと目が合います。軽く会釈して乗り込み、僕も現地に着くまでうとうとしていました。3時間以上はかかりましたが、休憩は無しだったのでトイレを済ませておくことをオススメします。
チケットを買って中へ入り、とことことまばらな列について行きます。エジプトの端っこなので旅人でもここまで観光に来る人たちは限られますが、それでもとても有名なので結構人は多かったです。
道すがら岩山に埋め込まれた石板を見つけました。ヒエログリフが埋め込まれており、中々綺麗だったのですが誰も見向きもせずにアブシンベル神殿の方へと歩いて行きます。みんなもうヒエログリフには飽き飽きなんでしょうか。
神殿の巨像たちの前は撮影大会になっていました。しかしそれも頷ける迫力です。一目見た瞬間からわざわざ来て良かったと思いました。こんな巨大な石や岩を削ったり切ったりする技術が何千年も前からあったと思うと、なんだか不思議になります。
彼らが我々ではなくどこか遠くを見つめているからでしょうか、 巨大ではありますが、威圧感はそこまで感じませんでした。アブシンベル大神殿よりもアブシンベル小神殿の前の方が写真を撮っている人たちは多かったです。
しかしその内部はアブシンベル大神殿の方がすごかったです。内部での撮影には別途支払いが必要ですが、それを払わずに隠し撮りを試みる人たちがたくさんいます。かなり厳しく見回りしている係員が複数人いて、そういう人を見つけるとカメラだろうとスマートフォンだろうと中身を確認させろと言われます。そして全て消去したところを確認させるか、料金を支払うかを迫られます。僕が見て周っていた時には10人近くが捕まっていました。
内部はまるで映画の世界のようでした。壁一面に所狭しとヒエログリフと絵画が刻み込まれおり、明るすぎない光がそれらを怪しく演出しています。道の両側には巨大な像が並べられており、今にも動き出しそうな迫力です。長い間砂の中に埋もれていたところを発見されたアブシンベル神殿ですが、古代文明の雰囲気がまだそこには漂っているかのようでした。
2、3時間見学した後、またバンに乗り込んでアスワン市内へと戻っていきます。僕はさらにイシス神殿にも行きたかったので、途中で降ろしてもらえないかとドライバーに頼みました。そのとき降りた場所やイシス神殿についてなどはコチラをどうぞ。
宿に戻った時にはもうお腹がぺこぺこでした。少しのパンを食べただけでほぼ一日中観光していましたからね。アスワンには数日泊まっていたのですが毎日通ったハンバーガーショップがあるのでご紹介します。「AL emam cookies」
「アスワンではどこもぼったくりだ」なんて聞いていましたが、ここではきっちりお釣りもくれましたし、何より美味しかったです。働いているスタッフも気さくで良いやつでした。もし特に行きたい場所も食べたいものもなければ、ここで騙されることはない(多分……)ので是非試してみてはいかがでしょう。
ではでは