始まり
フィリピンはセブ島のゲストハウスでのんびりダラダラ過ごしていた日々がありました。
僕は語学留学を目的にセブ島にやって来たのですが、学校に通い始める前にフィリピンとセブ島の雰囲気を知っておこうとゆっくりしていました。当時宿泊していたゲストハウスは日本人ゲストハウスで、かなり居心地が良かったのでど沈没していました。
旅人のみんなと雑談したりシェア飯したりと”The 日本人宿”的な楽しみ方を満喫していました。
ある日のこと、ある旅人が僕の泊まっているドミトリー(相部屋)にやってきました。彼は大学を中退してフラフラと外国を旅している若者でした。中々の男前で、イケメンには珍しく中身まで面白い奴でした。
彼とはすぐに意気投合して仲良くなり、飯を食いに行ったりシーシャを吸いに行ったりして遊んでいました。そんな風にキャイキャイ遊びながら数日が経ち、彼はある提案を僕にしてきたのです。
「すぴさん、マンゴーストリートって知ってます?」
もちろんすぴさんはマンゴーストリートを知っています。そこはセブの歌舞伎町的な場所で、夜のお店やらバーやらクラブやらがたくさんあるエリアです。セブで夜遊びするならまず名前のあがるような場所です。
僕はそういった繁華街を練り歩くのは好きですが、なんせ貧乏小僧ということもあって夜のお店に行くことはありません。外国のクラブも数えるくらいしか行ったことがありません。
「知ってるよー有名な繁華街でしょ? 行ったことはないけど……」
その日から彼は数日かけて僕を説得するのです。僕の最大の懸念点はお金です。彼は僕よりもお金を持っていないクセに、突撃しようとするクレイジーな奴なのです。
しかし、最終的に彼の熱いプレゼンテーションに負けてマンゴーストリートへ赴くことになったのでした。
マンゴーストリート
マンゴーストリートはセブの歌舞伎町的な存在と述べましたが、危険度も同じく高いと言われています。
セブには多くの語学学校がありますが、学校の校則でマンゴーストリートへの立ち入りは禁じている事はしばしばです。僕らもその点は考慮し、財布は宿に置いて現金だけを握りしめて、最悪身ぐるみを剥がされてもいいように準備しました。
この後文字通り半裸で宿に帰ってくることになろうとは、2人とも夢にも思っていませんでした。
文無しということでタクシーではなくジプニー(ちっさいバス)を乗り継いでマンゴーストリートまで辿り着きました。僕らの目的はクラブで女の子をゲットすることです。ゲットしたところで僕らの部屋はドミトリーだし、何がどうこうなるわけではないのですが、男の子なのでそこら辺は後回しという計画性の無さです。
マンゴーストリートは思ったよりもこじんまりとしており、なんだかあんまり流行っている感じはしませんでした。バーやクラブを下見がてら2人で歩き回りましたがなんともパッとしません。
とりあえずクラブに入ってビールを飲みながらキョロキョロしていました。ちなみにこの時点で2人の予算はギリギリです。適当に女の子に声をかけて回る彼をぼんやりと眺めながら、もう一杯飲んで退散かなあ〜などと考えていました。
どういう流れだったかハッキリ覚えていませんが、とにかくいつの間にか女の子2人と僕ら2人の4人で乾杯していました。彼は勢いに任せてショットをガンガン女の子たちに飲ませていました。僕は完全に予算オーバーしたことに気がついてはいましたが、面白かったのでヘラヘラと飲み続けていました。
よっしゃボチボチ帰るかとなって、僕らは顔を見合わせました。日本円でざっくり3、4千円足りてなかったと記憶しています。
『逃げるか?』と彼がアイコンタクトで尋ねていることと、僕自身も目で尋ねていたことに気付きました。そして『いや、謝ろう』になったのを覚えています。
お会計に行って事情を話すとちょっと待てと言われ、裏から別の人間が出てきました。僕らは有り金を全部カウンターにぶちまけ、ポケットをひっくり返して見せました。
奇跡的に、その人は笑って許してくれました。僕らは良かった良かったとほろ酔いでクラブを出ましたが、さらなる問題が待っていました。
夜中の2時か3時、一文無しで異国の繁華街にたたずみ途方に暮れました。
退散
「グールルマップがあるから最悪歩いて帰れるけど、結構あるぞこれ。ヒッチハイクだな」
僕は充電の切れそうなスマホを見つめながら言いました。
「こんな夜中に止まってくれる車なんてありますかね?」
彼の言い分はもっともです。ヒッチハイクをしたことのある人ならわかると思いますが、暗くなってからのヒッチハイクは困難を極めます。ヒッチハイクの基本は「ひなたで、笑顔で、元気に」です。その時の僕らは「暗闇で、酔っ払いながら、ヘトヘトで」という真逆と言っても過言ではない状況でした。
2人でぼやきながら歩いていると、後ろからトラックがやってきました。これしかない! ということで、荷台に乗らしてくれと頼むと快くOKしてくれました。
そのまま工事現場まで連れて行ってもらいましたが、まだまだ僕らのゲストハウスは先です。僕らは道路をたまに走る乗り物全てにヒッチハイクを試みました。バイタクがたまに止まってくれましたが、僕らが文無しということを知るとすぐに行ってしまいます。
そんなことを続けていると、一台のバイタクがまたやってきました。先ほどから何度もしている説明をまた繰り返すと、「お前らおもろいからタダで連れてってやるよ」とのこと。
僕らはもう感謝しかなく、最終的に褒められたTシャツ脱いで彼に渡したのでした。
最後に
道路を渡って宿に帰るまで半裸状態の僕らは、誰かに見られるんじゃないかとビクビクしながらコソコソと部屋に戻りました。
後日談ですが、男前の彼は宿で働いていた現地の女の子といい感じになっており、マンゴーストリート全然必要ねーじゃねーかと思いました。
他にもフィリピンに関する記事をまとめているのでコチラの一覧からどうぞ。
最後まで読んで頂きありがとうございました!