マレーシアのクアラルンプールで食い逃げ認定された話

マレーシア(クアラルンプール)編

 マレーシアのクアラルンプールにはアロー通りという屋台でひしめく楽しい場所があります。

 テーブルとプラスチックのイスがひしめき合い、マレーシア料理をつまみにお酒を飲んでいたりシーシャ(水タバコ)をふかしている人たちで賑わいます。昼間は暑いのでガランとしていますが、夕方からポツポツとお店が外に席を作り出します。

 僕は基本的に一人旅なので、そんな歓楽街でも一人でポツンとご飯を食べていることが多いのですが、強がりではなく寂しくはなりません。たまにですがそこで仲良くなってお酒を飲んだりシーシャを吸ったりしていました(マレーシアでは外での喫煙が原則禁止となったため、今では屋台でシーシャを吸うことはできないかもしれません)。

 

 事件が起きたのはそんなアロー通りでのことでした。

 クアラルンプール滞在中の日課になっていたのですが、アロー通りをゆっくりぶらぶら歩き、じっくり屋台やレストランを物色して夕飯所を探します。

 その日も時間をかけて自分のお腹と相談しながら歩き回ってお店を決めました。僕の席の隣にはシーシャを吸っているカップルがおり、見たところヨーロピアンの旅行者という感じでした。

 僕は適当に3品くらい頼んでむしゃむしゃとがっついていると、彼らから視線を感じました。何か言いたげだったので、「シーシャ美味い? まだマレーシアでは試したことないんだよね」と謎の嘘を混ぜつつ尋ねてみました。試したことないどころか、昼間はシーシャカフェにしか居ません。

 男の方はシーシャをよく吸うと言っていましたが、女の方は今日が初めてということでした。そしてなんと今日は今吸っているもので3本目のシーシャなんだとか。僕はあんまり吸いすぎないで、深呼吸を挟んだ方がいいとアドバイスしました。

 話題はシーシャから食べ物へ、マレーシアについて、旅について、お互いについてと発展していきました。

 僕は元々ガタイに見合わず大食漢で、お酒が入ると特にずっと食べてしまいます。その日は彼らが飲み物を奢ってくれるというので、グビグビ飲むと同時に食べ物も次々と頼んでいました。一皿の量がそこまで多くないので、どんどんと頼んでしまいます。
彼らは食べ物こそそこまで食べていませんでしたが、かなり飲んでいるようで、シーシャとのちゃんぽんもあってか女の方はかなり出来上がっていました。

 シーシャもお酒もほどほどにねと言うと、ちょっとトイレに行ってくると店の中に入っていきました。男の方も彼女の背中をさすってあげながらついて行きました。

 しかしすぐにまた出てきて、「トイレが壊れていて使えないらしい。ちょっと探して来るから待っててくれ」とのこと。シーシャ吸ってていいよと言われて、これはラッキーと大人しくブクブク頂いていました。

 30分経ちましたが戻って来ません。仕方ないのでとりあえずスイカシェイクを頼みます。ちなみに東南アジアではスイカシェイクが1番好きで、マレーシアでもよく飲んでいました。

 お腹いっぱいで煙以外はもう体内に入れたくなかったのですが、何かしら頼まないといけない気がして注文しました。

 30分かけてスイカシェイクをチビチビ飲み、シーシャをふかしていましたが、一向に戻ってくる様子がありません。そろそろ店員の目が痛くなって来たので、2杯目のスイカシェイクを検討し始めました。

 物言いたげな店員の視線を華麗に無視してかわし続けていたのですが、段々と僕もトイレに行きたくなってきました。限界を迎える前に行っておこうと思い、チラチラ見てくる店員に声をかけました。

 呼んだだけなの会計金額を言われてムッとしましたが、近くのトイレはどこにあるか尋ねました。

 レストランの中にあると言われて愕然としました。

 「でも壊れてるんだろ?」

 「壊れてないよ」

 やられたと思いました。この場合は仲良くしていた僕が全額支払わないといけないのだろうかと思いながら、とりあえずトイレに行きました。

 トイレから出て自分の席に戻ると、さっきの店員がウロウロしています。というか、明らかに僕を監視しています。まったくもうと思いながら、尋ねました。

 「さっきヨーロピアンカップルがトイレに行こうとしてなかった?」

 「あーアイツらはベロベロだったからトイレは使わせなかったよ」

 僕は分からなくなりました。すでに彼らが席を立って1時間半以上は過ぎ去りましたが、これは食い逃げなんだろうか、それともトイレを探す旅に出ているだけで済ませたら帰ってくるのだろうかと考えていました。

 2時間が過ぎると、お店の人たちから露骨なプレッシャーを受けるようになりました。中からおばちゃんが出てきて、お金を払えと言います。僕は自分が飲み食いしていた分は支払うけど、彼らのは知らんよと言いました。

 僕の前で何やらヤイヤイ話し合うと、「でもアイツらはお前の友達だろ」と痛いところを突いてきます。さっき会ったばかりであんまり知らない人たちだからと言っても店の人たちは納得しません。

 合計金会計金額は僕の分の4倍近い金額です。そんなわけで僕は完全に途方にくれてしまいました。

 仕方ないから支払うかーとため息をつくと、彼らが帰って来ました。2人ともケロッとしており、彼女の体調も大丈夫そうでした。

 トイレが見つからなかったので一度ホテルまで帰っていたのだとか。マジでゴメンと言う割にはきっちり自分たちの分しか払ってくれないので、なんだよコノヤロウと思いました。

 しかしとにかく良かった良かったで終われたので良しとしました。

 

最後に

 今回は普通の人たちでしたが、このタイプの食い逃げ詐欺があるという話は耳にしたことがあります。

 対策としては、テーブルをくっつけたり同席したりしないことです。席ごとに会計を出すことがほとんどなので、同じ席だとまとめられてしまいます。

 

 他にも色々と旅に関する小話や役立つ情報をまとめているので、コチラの一覧をどうぞ。

 

 最後まで読んで頂きありがとうございました!

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